2017年6月8日木曜日

クローズアップ現代+でのアニメ業界の闇について、アニメ制作携わる自分が色々綴ってみた。

<私の現場での立ち位置と仕事内容>

私は内製では処理しきれない3Dパートの制作を請負ってます。
だいたい2~3週スライドしながら次回の制作と並行して作業を続けております
昨今のアニメの3Dパートの主な役割は背景・カメラマップ・メカや車など比較的作画動画の負担が大きいもの、などがあげられます。


<製作費について>

実際に気になる現場を知るには現場におらんと分からないので、
いま仕事を引き受けておりますが、製作費に関しては当然のこと100人近いスタッフを
/話2000万で動かす事態狂ってますがそれでも赤なんです。
それに加えてリテイクや追加カット、残業代とか正当に支払われていればまっかっか。
それではなんで正当な製作費が出ないのか不思議です。


< テレビという箱から飛び出す>

昔みたいにテレビ局と広告代理店2社という製作が減りました。
大きな原因としてはアニメ放映だけでは商売ができなくなったからです。
アニメーションというものはテレビ・映画でしかなかったものが、
バブル崩壊した90年代を堺にゲーム機の処理能力向上、
OVAというジャンルの確立により、アニメも趣味嗜好が増えて分散化し始めました。
そして通常のアニメでもビジネスの多角化が始まり、
年間に制作されるアニメの本数が一気に増え始めます。
この頃邦画もアニメも一企業独占から「製作委員会」という制作が増え始めました。


<ビジネスとしての崩壊 - 変わらない回収システム - >

製作委員会は現在のアニメビジネスの基本となる、
「BD・DVDソフト」「音楽CD」「グッズ」「制作局」「ゲーム会社」などなどの
各社が資金を持ち寄ってリスクを分散化し放送外収入で赤字を補填するシステムです。
しかしながらビジネスとは時代と共に価値観や購買行動が変化・進化するはずなのですが
恐ろしいことにこれが何十年も変わっていないのです。
それらのビジネスとして成長を見出さず、アニメの製作本数が年々増え始め、
日本でのアニメーションスタッフの育成もままならずつねに人材不足のままです。
これではいつ崩壊しても不思議ではありません。


<ジリ貧は制作全体に及んでいる>

いままで主にアニメーション制作についての言及が多かったですが、
今度はいまやアニメの広報・看板という立ち位置にもなっている声優さんについてです。
実は僕は音楽制作(BGM)という立場でもあります。(仕事ヤリマンか!)
アニメの劇伴のオーケストレーション(管弦楽の編曲)という形で携わったことがあります。

声優さんにはアニメ以外にも、キャラクターソングのCDや番組の広報的立場である、
ネットの生配信・ネットラジオなどの出演がデフォルトになっています。
声優さんといえばキラキラした華やかなお仕事にも見えます。
だけど内情はキャラクターソングのCDはギャラに印税分配もあるだろうと思っていたのですが、買い取りなんですね。つまりいくら売れようが一緒。
ネットの生配信・ネットラジオも同じく支払われるギャラはかなり安いです。
何故かと言うと、アニメを今後も2期3期と続けていくよう、そして関連グッズを売る為の唯一の声優さんがアナウンスできる場所であり、事務所もそれに応じて長期的見通しで先行投資的な形で作られているのです。
先述したアニメビジネスの基本を支えるには現在ではこうした地道でコストに見合わない
マーケティングが行われています。


<アニメスタジオは製作委員会に参加できにくい?>

アニメーションスタジオが製作委員会が参加することが難しいのは、
製作に出資する費用を確保するのが難しいからです。殆ど中小企業ですから。
資本も少なく設備投資ですっからかんというのも他業種によくありますが、
アニメーションスタジオにも似たような事もあって2次利用収入を確保するには
それなりのハードルがあるのです。
プロダクションIGの石川社長が「制作会社自らが二次利用の権利を確保するなどビジネス感覚が必要」(NHK・取材に基づいてテロップ要約)、と述べていましたが、
それらの基盤を固めるには個々の制作会社が大改革をしない限りは厳しいかと思います。


<まだまだ未熟な産業>

映像ソフト販売、関連グッズでどうにか赤字を補填しているのが現状です。
二次利用の権利を早急にも手を打たないと本当にアニメーションスタジオの経営も
大変でしょう。


<CGの利用>
CG屋である私言うのもなんですが、なんでもかんでもCGに頼るのは否定的なんですよ。。
効率は良くても浸透しない理由はさまざまで、まず世間のニーズ・専門スタッフの不足が挙げられますが、もとより否定的なのは製作委員会の方々でもあるんです。
手描きのよさ、人が描いてる線が良いんですよ。
3dsmaxのレンダープラグインでそれらを再現する機能はありますが、
無理してモディファイヤ(変形する機能)でやろうとしても違和感がでます。
そりゃCGスタッフがCGカット作ってるから「CG臭いぞ」というのは至極当然ではありますが(苦)
ですから今後も手描き・CGの住み分けは今後も変わらないと思いますし、そう願っています。


<最後に>

CGパートではありますが、付き合いのあるスタッフからこのお仕事を相談され、スケジュールはタイトでありましたし、内製では難しいカットでしたし不安ではありましたが、普段はフォトリアルなCG・VFXが多いのですが、ケレン味ある気持ちの良いモーションがはまったときはとても面白かったです。

アニメのお仕事は楽しいです。

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キャッシュの動きを見るためなのかな。

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